リラックス状態を獲得しやすい要素というものがあります。(Benson et al.,1974)
米国の心臓病専門医でハーバード大学医学部心身医学教授ハーバート・ベンソン博士によると、リラックス状態になりやすい要素は下記の4つになります。
①精神的手段(mental device)
②受動的注意集中(passive attitude)
③筋弛緩状態(muscle relaxation)
④環境設定(setting)
一つずつ解説していきます。
①精神的手段(mental device)
リラックス状態といっても、なにもしない状態を指すのではなく、日常生活の忙しさから切り離された状態にしたり、気にかかっていることにとらわれやすい状態に陥るのを妨げる必要があります。
そのために、“ひとつの対象に焦点を当てる”という精神的手段があります。
例えば、小説を読むことに集中する作業がこれに該当します。
②受動的注意集中(passive attitude)
ありのままの内的な状況や反応に注意を向けることで、内的な状態を整え、リラックス状態を促す受動的な集中。
受動的な状態とは逆に、日常生活で外的要因に意識が向いている状態を、能動的な状態といいます。「あれをしなきゃ・これをしなきゃ」といった具合に、外の環境に五感を総動員して忙しく働き続けていると、緊張状態が維持されやすくなります。そうなるとリラックスしようとした際に、「緊張をとろう」「楽になるぞ」などのように力みやすくなり、逆効果になる可能性が高まります。
バランスをとるためにも、自身の「心」と「身体」といった内的な状態に注意を向け、受動的な集中をしてリラックス状態を促す必要があるといえます。
③筋弛緩状態(muscle relaxation)
身体的アプローチからリラックス状態を作ることで、情緒的に変化して心理面での感情変化を得ようとするものです。
そうした状態を意図して作ることで、「心」と「身体」をいつの間にか切り離された状態にしたり、再度結びつけたりする方法を、筋弛緩法といいます。
④環境設定(setting)
「雑音のない静かな空間」「心地いい室温」「楽な姿勢」という条件下では、リラックス状態が促しやすく、維持されやすくなります。人は周囲の環境からの刺激を受けやすいため、リラックス状態を促す時には、特に必要な条件とされています。
また、開眼状態では、目から入る膨大な情報量の影響で集中しづらくなる可能性があります。
-Reference list-
■Benson,H.,Beary,F.,Carol,M.P.:The relaxation response.Psychiatry,37~46,1974.
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